次世代をデザインする 私のビジョン

はじめに

こんにちは、和田隆博です。グラフィックデザイナーである私が、デザインの世界で働き始めて30年が過ぎました。コンピュータが発達し、誰もが手軽にデザインが楽しめるようになりました。デザインとは情報を伝え、暮らしを便利にし、ものを売る技術のことです。しかし、それはそんなに簡単なことではありません。しかし、様々な工夫や努力を重ねることで、情報はスムーズに伝わり、暮らしはとても便利になり、ものはたくさん売れたりするようになります。その不思議な力、それがデザインの力なのです。

2002年から、私は大阪市立扇町総合高校と大阪市立デザイン教育研究所で、デザインの力を教えるようになりました。そうした経験のなかで、私は親と一緒に暮らせない子どもたちに、こうしたデザインの不思議な力を身につけてほしい、そう考えるようになりました。そこで2007年、私は子どもデザイン教室を設立しました。

2つの理由

なぜ、そう考えたのか?その理由は2つあります。
一つ目の理由は、環境で子どもは変わるからです。親の病気や貧困、虐待が原因で、社会的養護が必要な子どもたちは、全国に約47,000人います。また、児童相談所が受理された虐待の相談件数は、2010年度、55,000件を突破しました。児童養護施設で暮らす子どもたちの入所理由の約43%が、虐待や育児放棄といった父母の問題行動によるものです。親と一緒に暮らせない子どもたちは、愛情の不足と気持ちの不安定から、低学力・低生活力傾向にあります。しかし、子どもたち自身が低能力な訳ではありません。問題は環境です。長い時間をかけて環境を整えると、子どもたちは劇的に変化するのです。

二つ目の理由は、進学と貧困の問題です。児童養護施設入所者の大学進学率は約16%です。また、児童養護施設入所児童世帯の約51%が年収200万円未満です。ご存じの通り、貧困は連鎖します。親と一緒に暮らせない子どもたちの多くは、頼れる身寄りが少なく、お金もない状態で、概ね18歳で行政からの養育支援が打ち切られます。このことが貧困層を自然的に形成し、就職難や不良就労、ホームレスに繋がっているのです。

世の中は何かおかしい。

私はこうした状況は何かおかしいと考えています。資本主義や自由主義がもたらす皺寄せが社会のとても弱いところ、それでいて一番大切なところを痛めつけている、私はそう考えています。こうした状況を作ったのは誰でしょう?そう、それは私たちおとななのです。しかし、おとなには、よりよい次世代を育てていく責任と義務があります。

そこで私は、親と一緒に暮らせない子どもたちの支援をはじめました。私の活動は次の3つの支援で構成されています。一つ目は勉強を教える学習支援、二つ目は仕事を作る学資支援、そして、三つ目は子どもを育てる養育支援です。

支援の概要

それでは、私の3つの支援を詳しく説明します。
一つ目の支援は学習支援です。子どもたちにとって、勉強は忌み嫌うもののようです。しかし、その原因は環境であったり、劣等感であったりで、子どもたち自身が低能力な訳ではありません。そこで、国語・算数といった5教科を背景に、イラストや絵本、アニメーションを制作する学習×造形プログラムを子どもたちに提供しています。私は子どもたちが勉強を意識せず、遊びながら学ぶというユニークなアプローチで、子どもたちの学習を支援しています。こうして、子どもたちは内側から学力を身につけ、コンピュータとプレゼンテーション技術を習得し、創造力と自立心を育み、将来の巣立ちを計画的に準備します。

二つ目の支援は学資支援です。子どもたちが将来、貧困で困らないように子どもたちと作ったキャラクターグッズを企画・製造し、企業に販売しています。そして、その収益金を私たちの活動資金と子どもたちの学資に充当し、子どもたちの銀行口座に直接貯金しています。

三つ目の支援は養育支援です。私は学習支援や学資支援では、子どもたちの根源的な問題は解決できないと考えています。そこで、養育里親として子どもたちと寝食を共にし、子どもたちを育てる養育支援をしています。

2つの目標

私には大小2つの目標があります。
一つ目の目標は小さな目標で、6人の子どもたちと暮らすグループホームを設立することです。これは児童養護施設と里親委託の互いの不足を補完する、bestではないがbetterな児童養護のあり方です。厚生労働省も今後10数年間で児童養護施設とグループホーム・里親委託の比率を、現在の9対1から3対6になるようめざしています。

二つ目の目標は大きな目標で、新しい公共の創造です。日本の社会保障費は現在、年間約108兆円です。しかも、毎年約1兆円ずつ増え続け、もはや行政にだけ社会保障を頼れる状況ではありません。かつての恵みを分かち合う時代から、痛みを分かち合う時代へと、社会は変わったのです。日本の非1次産業の企業数は約4,338,000社です。一方、社会的養護が必要な子どもたちの数は約47,000人です。1社が1人ずつ経済活動を通して支援する、そんな新しい公共があっても不思議ではない、私はそう考えています。

おわりに

こうした活動を支えるのが、綿屋デザインファクトリーの広告デザイン事業部です。綿屋デザインファクトリーは、広告主と生活者のインターフェイスとなるべく、最新のマーケティング理論に基づいた、良質のグラフィックデザインをご提供しています。綿屋デザインファクトリーは広告デザインで社会福祉に新しい風を吹き込みます。

いかがでしょう?これが私のビジョンです。私はこうした活動を通して、社会的責任のある人間になりたいと考えています。どうか皆様のご理解とご支援賜りたいと願っています。私の活動は皆さんのちょっとしたご協力で、100倍もの、1000倍もの推進力が得られます。皆様のお力添えを心よりお待ち申し上げております。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

2012年9月
綿屋デザインファクトリー
代表
デザイナー
和田隆博